About job
- カーボンニュートラル
未来の地球環境を見据えた
カーボンニュートラルへの挑戦
プロジェクトメンバー
富山県黒部市にて建材素材に関する環境技術職としてYKK APでのキャリアをスタート、数年の勤務を経て、社団法人日本建材産業協会に出向し建材業界の環境施策を推進。2003年より安全環境管理部に所属し、カーボンニュートラルプロジェクトでは事務局としてYKK APの環境施策の戦略立案や技術展開に携わっている。
素材技術部アルミ押出技術室、黒部製造所素材製造部鋳造ラインを経験し、2019年より鋳造ライン長を担当する。2021年に素材技術部へ異動。カーボンニュートラルプロジェクトではプロセス転換に関するワーキンググループの窓口として、脱炭素型ものづくり改革に取り組んでいる。
入社後、商品開発職を経験した後、2021年より生産技術職へ異動に異動。樹脂窓の生産技術を担当する。カーボンニュートラルプロジェクトでは商品・材料に関するワーキンググループの事務局として会議を運営し、CO2排出量の見える化やCO2排出量削減施策を検討している。
YKK APがカーボンニュートラルに取り組む意義
社会に先駆けて取り組んできたカーボンニュートラル
若手技術者が中心となるプロジェクトを発足
CO2をはじめとする温室効果ガスの排出量を、実質ゼロにするカーボンニュートラル。人の暮らしや事業活動を守るためにも、地球温暖化の加速は何としてでも防がなければなりません。日本でカーボンニュートラルが注目されたのは、2020年の菅元首相による所信表明演説がきっかけでした。しかし、YKK APは2019年にカーボンニュートラル実現に向けたCO2削減目標を設定。2021年からプロジェクトを立ち上げ、全社的な取り組みを行っています。
当社の主力商品である樹脂窓は、断熱性が高く空調効率を高めてCO2削減に貢献しています。その一方で、製品の製造時や材料調達時にCO2を排出しているという課題がありました。2030年に自社CO2排出量を80%削減、2040年に100%削減という目標に向けて、省エネ設備、プロセス転換、創エネ、再エネ調達、物流、商品・材料という6つのワーキンググループ(以下WG)を発足。若手技術者を中心に、具体的な施策や技術を検討しています。WGへの思いについて、カーボンニュートラルプロジェクト事務局の環境管理Sは次のように語ります。
「カーボンニュートラル実現に向けて、未来に通用する新しい技術を積極的に導入し、目標達成するためにWGを立ち上げました。将来会社を担う若手技術者を中心に、これまでにない視点から持続可能社会の実現に向けた取り組みを展開しています」
こうして、YKK APのカーボンニュートラルへの挑戦が始まりました。
プロセス展開WGの取り組みについて
最先端の技術情報をいち早くキャッチアップ
実験を繰り返し、製造工程を抜本的に改革する
ものづくりの工程を改革し、新しい設備や燃料の導入を検討するのが、プロセス転換WGの役割です。素材技術Kは言います。
「水素燃料など、カーボンニュートラルの技術開発が世界的に進められています。最先端の技術情報をいち早くキャッチアップし、脱炭素可能な製造方法を提案するのが私たちの仕事です。そのために、展示会での情報収集や実現化に向けた実験に取り組んでいます」
現在は重油や都市ガスなど炭素が含まれる燃料が主流で、溶解時にCO2が排出されるのが課題となっています。そのような中で注目を集めているのが、水素をはじめとするカーボンフリーガス。プロセス転換WGは、水素燃料の実用化に向けた実験を行っています。
水素燃料は燃焼速度が速く、体積当たりの燃焼熱が小さいなどの特徴があります。また、窓の素材であるアルミなどの金属にとって、水素は悪影響を及ぼす元素です。そこで、アルミの溶解に水素燃料を使用する実験を行ったところ、既存燃料と大差はなく影響がほぼ見られないという結果が得られました。しかし、既存燃料より約10倍の燃料を使用するため、コストが膨れ上がるという課題が発生。現在は、コストとインフラのバランスを見ながら、カーボンフリーガスの実用化を目指しています。
商品・材料WGの取り組みについて
CO2排出量の見える化で意識向上に貢献
ガイドラインを策定し、脱炭素に向けた体制を整備
商品・材料WGは、製品ごとのCO2排出量の可視化や、カーボンニュートラルの観点を盛り込んだ商品アセスメントおよび環境配慮設計ガイドラインの策定に取り組んでいます。生産技術Mは取り組みについて語ります。
「これまでは、商品開発で商品1セットあたりどのくらいのCO2が排出されているのかほぼ分からない状態だったので、見える化することから始めました。そして、カーボンニュートラルの取り組みの重要性を各事業部のメンバーに広く知ってもらい、意識を高めるための周知と教育も重視して活動しています」
WG発足後にまず開発したのが、CO2排出量の計算シミュレーションでした。アルミやステンレス、プラスチックなど様々な材料に対して排出係数をかけ、自動的にCO2排出量が計算されるツールを作成。商品開発時はこの計算ツールを使用しないと、次のフェーズに進めない仕組みを導入しました。
それまではCO2排出量をそれほど意識せず開発できる仕組みでしたが、このツールを導入したところ、「これほどのCO2が排出されていたのか」と、開発現場から驚きの声があがりました。その後はワーキングメンバーや商品開発者と協議し、計算シミュレーションの精度を高めるためのアップデートを実施。CO2排出量が見える化できたことによる脱炭素への意識の高まりが、社内全体に浸透し始めています。
カーボンニュートラルプロジェクトの目標
カーボンニュートラルのリーディングカンパニーを目指して
技術力を活かし、幸せな社会づくりを実現する
YKK APのノウハウを活かしながら、最先端の技術を導入してカーボンニュートラルを推進する当プロジェクト。将来的には、建材業界におけるカーボンニュートラルのリーディングカンパニーになりたいと、商品・材料WGの生産技術Mは語ります。
「CO2排出量の計算シミュレーションの精度を高め、カーボンニュートラルのリーダー的存在になれれば、社会貢献はもちろんのこと会社としてのブランド力向上にも寄与できます。今後も製造方法を見直しながら、脱炭素に取り組むための仕組みづくりに注力したいです」
プロセス転換WGの素材技術Kは、アルミのリサイクルによるCO2排出量削減に大きな可能性を見出しています。
「現在、金属は美しく光沢のある意匠性が売りの一つになっています。リサイクルされたアルミは元素にばらつきがあるため、同じ作り方でも色味に変化が出ます。今の価値観だと品質が悪いものと判断されてしまいますが、当社がリサイクル製品の価値をアピールすることで社会に変容をもたらし、環境に優しい製品のバリュー向上につなげたいです」
環境管理Sはカーボンニュートラルプロジェクト事務局として、全社的な省エネ推進に取り組みたいと語ります。
「太陽光発電を導入し、生産ラインの電力として活用しているのですが、まだ部分的な取り組みとなっています。今後や太陽光や風力発電の数を増やし、蓄電設備で夜間利用も可能にすることで、全ての生産活動を再生可能エネルギーで賄える体制にしたいです。再生可能エネルギーだけでなく、当社の設備のエネルギー消費自体を最小化することにより、抜本的な改善を図りたいですね」
2040年にCO2排出量ゼロを目指す、YKK APのカーボンニュートラルプロジェクト。「Architectural Productsで社会を幸せにする会社。」というパーパスを実現し、自然環境や子どもたちの生活を守ることで幸せな社会づくりを目指します。